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部屋を整理していたら、1991年のジャズライフが出てきました(当時高校生で一生懸命、毎月買っていた)。。。10月号。「ブラジルからの第2の波」という特集があり、さまざまなアーティストのインタビューが掲載されていました。
そのなかに、egberto gismontiのインタビューがありました。最近、何度か読み返しています。(1991年と今、違う状況もあるかとは思いますが。。。)一部を、以下に写しました。



-ブラジルのミュージシャンはみなそうだと思うのですが、ギスモンチさんも、たとえばアマゾンなどの自然に対する尊敬の気持ちがとても深いのではないでしょうか。


ギスモンチ:そのとおりだ。私と自然とのかかわりあいは73年に、森と木に関するアルバムを作った時に始まった。それ以来、私の自然に対する考え方は発展してきた。今では私自身は、自然に関するブラジルの文化の擁護者であると感じている。自然というのはたいへんバランスがとれたものなのだが、自然への尊敬が深まるにつれ「バランスがとれたものへの愛情」も強くなっている。今、エコロジーがブームだが、たとえば木を大切にするということは決して難しくはない。それよりも問題なのは人間どおしの間で、いかにものごとを大切にしていくか?ということだと思う。根本的な問題は、人と人との間に、たとえば「友情」とか「連帯」とか「尊敬」・・・そういったものを大切にしない風潮や考え方があることだ。そういうものを大切にできないから、森林伐採のような問題が起きてくる。


-なるほど。では、ギスモンチさんは、自然から最も遠いところにある東京などの都市、あるいはそこで育つ音楽についてどう思われますか?


ギスモンチ:私が日本やニューヨークに来て街で音楽を聴くと、それはすべて騒音にしか聴こえないんだ。「都市の音」というのは、すべて騒音がベースになってできている。たとえば車のクラクションとか、人の話し声とか、ゲーム・ボーイ(笑)の発振音とか、そういった騒音がベースになってできている。そうした「都市の音」が、やはり都市で作られる音楽に反映されている。こういう騒音だらけの生活空間のなかに、バランスを求める愛情の心というのはいったいどこに存在しうるのであろうか?このまま行ってしまうといったいどうなるのであろう?私自身は沈黙を愛する者だ。沈黙というのは、森林の奥深くの静けさ、それはバランスがとれた世界の象徴でもある。そういう自分が、街に出てくるとほんとうにそのうるささにただただ驚くばかりだね。昨日アキハバラに寄ってみたが、そのうるささに驚いて、地下鉄の出口を出たとたん、怖くなってホテル
に引き返してきたよ(笑)。
 このままの勢いなら、街の騒音はどんどん大きくなるばかりだ。そのうち、ニューヨークや東京やサン・パウロの街角に、「沈黙ボックス」ができるに違いないね。その中に入れば10
分間まったくの沈黙に浸れるというね(笑)。


-あなたの音楽はそういう騒音の中で日々を送る都市生活者が、バランスのとれた環境でホッとできるような、そんな「静けさ」の音楽だと思います。


ギスモンチ:そう言ってもらえると、うれしいな。それが私の音楽の目的でもあるんだ。
 歴史をさかのぼってみるとよくわかることなのだけれど、文明が始まった頃というのは、自分たちの生まれた場所があって、その場所から外に出ることなく幸せに暮らしていくことがで
きた。ところが今は世界が拡大し、状況が複雑なものになってきたので、自分たちの場所以外のところへ行かなければならない。たとえば私はブラジルの外へ行かなければならなくなった
。自分がもともといた場所に必ずいちばん大きなバランスがあるはずなのに、それを見失ってしまっている。だからみなふらりと街へ出かけて行って、高いお金を払ってコンサートに行く
。つまりコンサートのステージの上で繰り広げられていることは「非現実」だ。そして、その「非現実」は、かつては「現実」だった。つまり、今では失われてしまい、みなが求めている何かが、音楽にあるということなんだ。
by yamakamihitme | 2010-07-22 11:30 | にっき


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